慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
肺気腫や慢性気管支炎などの総称で、気道が狭くなる状態が持続する病気です。
40歳以上の人口の8.6%の患者がいると推定されており、喫煙習慣のある中高年に発症する生活習慣病です。
全体では死亡原因の9位、男性では7位を占めています。
原因
最大の原因は喫煙です。本人が喫煙していなくても、受動喫煙でも発症の原因となります。
粉じん、大気汚染や遺伝などが原因となることもあります。
症状
タバコ煙などの有害物質を吸い込むことによって、気管支に炎症が起きたり、気管支が細くなることで空気の流れが低下します。また、肺胞が破壊されて酸素をうまく取り込めなくなってしまいます。
それのより歩行時や階段を上り下りする時など身体を動かした時に息切れを感じる(労作性呼吸困難)、慢性のせきやたんが特徴的な症状です。
一部の患者さんでは、喘鳴や発作性呼吸困難などぜんそくのような症状を合併する場合もあります。
診断
長期間の喫煙歴があり、慢性的にせきとたん、労作時呼吸困難があればCOPDが疑われます。
確定診断にはスパイロメトリーと呼ばれる肺機能検査を行います。閉塞性障害をきたすその他の疾患を除外できればCOPDと診断されます。
胸部レントゲン検査や胸部CT検査、また心臓疾患など合併している場合があるため、心電図や心エコー検査を行う場合もあります。
治療
喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速してしまうため、禁煙が治療の基本となります。
憎悪を避けるため、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種も勧められます。
症状に対する治療としては、気管支拡張薬があります。憎悪を繰り返す場合は吸入ステロイドを使用します。
呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸、腹式呼吸などの呼吸訓練、運動療法、栄養療法)
予後
気流の閉塞が軽いうちに禁煙すれば、COPD自体は重度の症状を引き起こしたりすることはありません。
しかし、喫煙を止めないと、ほぼ確実に症状は悪化します。
COPDが悪化すると、在宅酸素療法が必要になったり、人工呼吸器が必要となったり、日常生活を送る上でもかなりの介助が必要になる可能性があります。