泌尿器科の癌
泌尿器科の癌について
膀胱癌、前立腺癌、腎臓癌、腎盂尿管癌、精巣癌、陰茎癌があります。
膀胱癌とは
膀胱は腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の臓器です。
膀胱の粘膜にできる癌であり、50歳以上の中高年(特に男性)に多く、喫煙が膀胱癌発症のリスクになるといわれています。
再発を繰り返すことが多いのが特徴で、治療後も定期的な検査が必要となります。
症状
肉眼的血尿が最も多くみられる症状で、痛みがない血尿が特徴です。
検査
エコー検査、尿細胞診、膀胱鏡検査、CTなどを行います。
治療
癌の広がりと深さにより大きく異なるため、病状にあわせて選択していきます。
手術療法(経尿道的膀胱腫瘍切除術、膀胱全摘除術)、薬物療法(膀胱内薬液注入療法)、放射線治療などがあります。
前立腺癌とは
前立腺は男性だけにある臓器で、精液の一部をつくっています。
クルミほどの大きさで、正常の重量は20g前後です。
前立腺の細胞が何らかの原因で異常に増殖することによる病気です。
症状
早期の前立腺癌では症状はほとんどみられませんが、尿がでにくい、頻尿などの症状が出ることもあります。
進行すると血尿がでたり、腰痛などの骨への転移による痛みが出ることもあります。
検査
採血をして血液中のPSA(前立腺特異抗原)の測定や直腸診(肛門から指を入れて前立腺を触診する方法)や超音波検査を行います。
PSAの一般的な基準値は、0~4ng/mlです。
PSAが高値の場合、前立腺がんの疑いがあるので、確定診断するために前立腺生検が行われます。
治療
癌の進行度や悪性度、患者さんの全身状態や年齢などを考慮して選択していきます。
治療は、監視療法、薬物療法、ホルモン療法、放射線療法、手術療法、化学療法などがあります。
腎臓癌とは
腎臓の細胞が癌化したものです。
腎臓は腰の上の辺りに左右1つずつあります。血液をろ過して老廃物や余分な水分が尿となって体外へ排出されます。
症状
血尿、腰背部痛、腹部腫瘤が三大症状ですが、多くの場合は無症状です。最近では健康診断の画像検査で偶然発見されることが多くなりました。
検査
腹部エコー検査、CTなどで診断されます。
治療
治療の基本は手術療法となります。
腎臓癌の特徴として、抗がん剤や放射線がほとんど効かない点があります。
進行した腎臓癌に対して免疫療法や分子標的薬による治療が行われます。
腎盂尿管癌とは
腎盂(じんう)にできる癌が腎盂癌、尿管にできる癌が尿管癌です。
腎臓で作られた尿は腎盂に集められたあと、尿管・膀胱・尿道を経てから体外へ排出するという働きをしています。
症状
血尿、腰背部痛、水腎症(癌で尿管がふさがることで腎臓の中に尿がたまり、腎盂・尿管の拡張がおこる状態)などがあります。
最近では健康診断で偶然みつかる場合があります。
検査
検尿、尿細胞診、エコー検査、CT、尿路造影、尿管鏡検査などがあります。
治療
治療の基本は手術療法となります。
癌のある側の腎臓と尿管・膀胱壁の一部をひとつづきに摘出する腎尿管全摘除術が基本となります。
精巣癌とは
若い成人男性に発生することが多い病気です。
進行が早く診断時に転移していることも少なくありませんが、多くの場合抗がん剤治療に非常によく反応します。
精巣は左右の陰嚢内に1つずつあり、睾丸ともよばれます。男性ホルモンの分泌や精子をつくっている臓器です。
症状
初期症状はほとんどなく、どちらかの精巣に痛みのないしこりや腫れができたりして発見されることが多いです。
検査
触診(癌の大きさや硬さなどの確認をします)、エコー検査、CT、血液検査などがあります。
治療
治療の基本は手術療法となります。
精巣癌の組織型や転移の有無、大きさ、広がりなどによって治療方針が決まっていきます。
陰茎癌とは
亀頭部や包皮に発生する比較的まれな癌の一種です。
症状
初期では痛みがないのがほとんどです。
カリフラワーのような見た目のしこりや、傷やただれなどがみられます。
病変部分が感染を起こすと、膿がでることもあります。
検査
視触診、生検、CT
治療
治療の基本は手術療法となります。
その他に放射線や抗がん剤などの治療があります。