腎不全
腎不全とは
腎不全とは、腎臓の機能が低下することをいいます。
腎臓は血液をろ過して体内の老廃物を取り除き、尿を作る役割を持っているので、腎不全に陥ると不要な老廃物や水分が体にたまっていくため、全身にさまざまな症状が出現します。
また、腎臓は血液を作るためのホルモンやカルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDを作り出す役割もあるため、腎不全が進行すると貧血や骨粗鬆症を発症するようになります。
腎不全は、急激に腎機能が悪化する急性腎不全と、徐々に腎機能が悪化していく慢性腎不全の2つに分類されます。
治療が遅れると腎機能が著しく低下し、人工透析や腎移植などが必要になることもあるため早めの受診が必要です。
急性腎不全
腎機能が数時間~数ヶ月の単位で急激に悪化する腎不全のことをいいます。
脱水や心不全、大量出血、腎梗塞など、腎臓への血流が低下することによって起こる腎前性腎不全、急性腎炎や薬剤性腎障害など腎臓自体に何らかの異常が起こることが原因の腎性腎不全、前立腺肥大や尿管結石、膀胱がん、尿路狭窄など尿が排出される経路の異常が原因である腎後性腎不全に分けられます。
急性腎不全の症状
症状は、体重増加、浮腫、高血圧、吐気嘔吐などです。
また、多くが数日から数週間で乏尿となり、その後利尿期を経て正常の尿量に戻ることが多いです。
慢性腎不全
徐々に腎機能が悪化していく腎不全のことをいいます。一般的に糸球体濾過値(GFR)が正常の50%以下になった状態。
原因は様々ですが、もっとも多いのは糖尿病性腎症と言われており、そのほか、腎硬化症(高血圧性)や慢性糸球体腎炎なども慢性腎不全の原因となります。
慢性腎不全の症状
症状は、倦怠感、浮腫、吐気嘔吐、食欲不振などですが、初期には症状がみられないことが多いです。
進行すると、骨粗鬆症や貧血を引き起こすこともあります。
末期になると、高カリウム血症や、低カルシウム血症、代謝性アシドーシスなどの尿毒症の症状が出現します。
検査
血液検査、尿検査、画像検査(レントゲンやCT)、超音波検査、腎生検が行われることがあります。
治療
急性腎不全の治療
急性腎不全の治療は、原因となっている病気の治療と症状を改善する治療を並行して行っていくことで回復が期待できます(食事制限や水分制限、利尿剤の投与等)。一時的に血液透析を行う場合もあります。
腎機能が正常まで改善することが多いですが、改善せず慢性腎不全に至った場合は血液透析などの血液浄化療法が永続的に必要となることもあります。
慢性腎不全の治療
慢性腎不全の治療は、腎機能のさらなる低下を防ぐことや、原疾患の治療、合併症の治療が行われます。
塩分やタンパク質、カリウムやリンなどの電解質と水分を制限することも必要であるため、食事療法も行われます。
また腎不全の進行により浮腫がある場合は利尿剤を投与したり、カリウムやリンなどの異常がある場合はそれらを調整する薬を投与することもあります。
貧血が起こっている場合はエリスロポエチン製剤の皮下注射などを行うことがあります。
腎機能が著しく低下して改善が見込めない場合には、血液透析や腹膜透析、腎移植などの腎代替療法が必要となります。