性感染症予防のドキシペップの処方
【ドキシペップによる性感染症予防について】
性感染症(STI)は、性行為によって感染する病気の総称です。クラミジアや淋病、梅毒などさまざまな種類がありますが、いずれも早期に発見して適切な治療を受ければ、多くの場合完治する病気です。治療せずに放置すると、将来的に不妊症や他の健康問題を引き起こす可能性があります。
性行為の後で「もしかしたら感染したかも…」と不安に感じたら、ドキシペップという予防策があります。ドキシペップとは、性感染症を予防するための抗生物質の一種である「ドキシサイクリン」を服用する方法です。緊急時に服用する薬で、クラミジアや淋病、梅毒の予防に効果が期待できます。
副作用・リスク
ドキシサイクリンは抗生物質なので、吐き気や嘔吐、下痢などの副作用が現れる可能性があります。また、お薬に対するアレルギー反応として発疹などの症状が現れることがあります。
【性感染症予防方法について】
性感染症を予防するには、ドキシペップ以外にもさまざまな方法があります。最も効果的な予防方法は、性行為時にコンドームを正しく使用することです。コンドームは、性感染症だけでなく、望まない妊娠を防ぐ効果もあります。
ドキシペップの服用方法と服用期間
ドキシペップは性行為の後、できるだけ早く服用を開始することが重要です。72時間以内(3日以内)には服用を開始する必要があります。72時間以内だと、侵入した細菌がまだ感染症を引き起こすほど増えていない段階であり、薬の効果で退治できるからです。具体的には、ドキシサイクリン(ビブラマイシン®️)200mg(100mgを2錠)を服用する必要があります。
ただし、ドキシペップはあくまで予防的な方法であり、感染リスクを70~90%減らせますが、100%感染を防げるわけではありません。米国で行われた臨床研究においては、梅毒は87%、クラミジアは88%、淋病は55%予防することができました。コンドームの使用など、他の予防対策と組み合わせて使用することが重要です。
注意点は以下のとおりです。
• すべての性感染症に効果があるわけではない
• 副作用が出る可能性がある
• 妊娠中や授乳中の人は服用できない
• 過去にドキシサイクリン(テトラサイクリン系の抗生物質)でアレルギー反応が出たことがある人や、重度の肝臓病や腎臓病を患っている人は服用できません。
薬剤耐性菌について
ドキシペップを繰り返し行うことで、薬剤耐性菌の出現リスクが高まる可能性も懸念されています。薬剤耐性菌とは、抗生物質が効きにくくなった細菌のことです。薬剤耐性菌が増えると、将来的に本当に必要な時に抗生物質が効かなくなる可能性があり、世界中で問題となっています。
ドキシペップ後の安全性と検査の必要性
ドキシペップを施行した場合でも、性病の検査を受けることは重要です。ドキシペップはあくまでも事後予防であり、感染を完全に防ぐものではないからです。効果が十分に得られなかった場合や服用前に既に感染していた場合でも、検査を受けることで、早期発見、早期治療が可能となります。検査を受けるタイミングとしては、ドキシペップを施行してから4~6週間後がおすすめです。
不安な症状がある場合はもちろん、症状がない場合でも、定期的な検査を受けることをおすすめします。心配なことがあれば、一人で悩まずに、早めに医療機関を受診して相談しましょう。
ドキシペップの費用
1回分 2000円